車載パワーエレクトロニクスの世界

車載機器に利用されているパワーエレクトロニクスの世界をマニアックに説明

パワエレ出来る研究室一覧(PWELのHPがお勧め)

ちょくちょくパワエレ、研究室で検索されてアクセスがあるようなので、役に立つようにお勧めのHPを紹介します。

 

PWELのHPのリンク集にパワエレ研情報が掲載されています。
しかもご親切に各研究室のHPの更新年まで調べて掲載してくれています。
これは便利!

 

pwel.jp

 

 

PWELは一般社団法人 日本パワーエレクトロニクス協会で、2017年ごろから活動を開始しているようです。以前は、少しセミナーをやっていたぐらいなイメージでしたが、久々にHPを見たら、セミナー数も増えており、活発に活動しているようです。

技術委員会があって、委員長に東工大の赤木先生(パワエレ業界の大御所)がおり、委員の面々も著名な方々が連なっています。基本的には、電気学会の産業応用部門(D部門)で活動されている面々です。

協会の所在地が「神奈川県横浜市港北区新横浜2-12-2 明友ビル6階」となっており、これは主に教育機関向けのパワエレ機器を販売している「Myway」と同じビルなので、コノあたりが関係していそうですね。

 

↓ Mywayってこんな会社です。当方も学生時代はここのPE-ExpertっていうDSPを使っていました。

www.myway.co.jp

 

関連会社情報に「パワーエレクトロニクス人材開発株式会社」ってあってMywayの社長さんの名前があったので、この人脈で出来ている法人ですね。

pwel.jp

www.myway.co.jp

 

パワエレ業界は狭いので(人材不足なので)、すぐに知った名前にたどりつきます。まぁ、当方がお話したことがある人は一部なので、こちらが勝手に論文やら特許やらで名前をしっているだけなのですがね・・・

 

最近は各研究室も内容を結構公開しているから、気になる研究室の内容を順に見ていきながら、思ったことを書いていこうと思います。

 

EVITA 対応って結局何するのさ?

ハードウェアエンジニアとしては、特に変わったことはしないと思ってます。

単に、EVITA_XX対応マイコン を搭載しておけばOKって感じ。

 

ソフトウェアエンジニアは色々と大変。

マイコンの中を設計している人はもっと大変。

 

EVITAや車載セキュリティは、サニーさんが説明してくれています。

sunnygiken.jp

 

EVITAには、セキュリティ要求の高い順にFull、Medium、Lightの三段階ありますが、パワエレ機器は基本的にMediumかLightだと思います。
Fullは車両統合制御ECUみたいな外部と繋がっていたりする凄いやつ。
マイコン自体も、Full対応は現状ではBGAで500ballクラスのごっつい子しか居ないのでまぁ、パワエレ機器では使われないと思います。

 

このあたりって言葉が先行していて実際の中身はあまり一般化されていない気がしています。
要求仕様を書くほうも、EVITA対応でお願いします。ってな感じで、その対応レベルを聞いてもFull、Medium、Lightのどれかってな返答とか・・・
もちろん、ちゃんとしている人もいますよ。

 

↓ ネットに落ちてるルネサスさんの資料もEVITAを詳しく解説してくれています。

https://pdf.gakkai-web.net/gakkai/ieice/icd/html/2018/view/I_04_01.pdf


あと、ISO26262の機能安全対応もそうですが、例えば、ASIL_Bに対応してくださいっていう仕様があっても、具体的にどんな機能にASILを付与したいとか、なぜ付与したいとか言えなかったり・・・
規格の解釈や準拠に関しては、色々と悩ましい問題があります。

 

規格の普及が進んで、色々と議論できる環境が整うと良いなぁと思うこのごろです。

 

800Vシステムの時代が来たのか?

ポルシェ_タイカンが800Vシステム車両として量産開始となりました。
業界内では以前からチラホラ800Vの話は聞いていましたが、
いよいよ本格化したようです。

 

システム構成などは、以下のサイトが詳しいです。

www.afpbb.com

 

 

インバータは、日立AMが開発です。

ニュースリリース:2019年10月18日:日立

 

電池電圧は、800V化されていることは間違いないのですが、
インバータは800V化せずに、400Vぐらいに一段降圧して使っているかなぁと思ったのですが、直接800Vで使用しているようです。

モジュール自体は、いつもの直冷両面モジュールなので見た目にはあまり変化点はないですが、電気的には内部のスイッチング素子の高耐圧化、主端子-ケース間、信号端子の沿面距離の確保など色々と設計課題は多そうです。

やって出来ないことは無いと思いますが、800V化の知見がない状況なので、大変そうだなぁという感想です。(電車等の開発で日立さん内では知見が豊富なのかも・・)

800V電圧だと、電流の低いとき(インバータのオンDuty幅が狭いとき)の印加電圧の制御が難しそうなので、色々とこれから特許が出てくると思います。
↑ 
今までと同じDuty幅の分解能で制御していたら2倍の電圧が掛かるので、狭パルスでの制御が難しそう。

 

分解してみたいけど、ちょっと入手は難しそうですね。

 

 

 

 

 

 

新型「プリウス」のPCUで気になる点

日経テクノロジーで新型プリウスのPCUの写真が公開されていたので、

気になる点を挙げます。

(画像から見た適当推測です。信憑性は・・・・)

 

 

・両面冷やせるパワーカード

・押しつぶして組み付ける積層冷却器

⇒この二つは、特許が一杯出ているので、詳細は特許見てください。

 

☆基板締結の螺子

 基板カットされている部分に見えている基板締結用のボスに

 合う形で、とても大きなフランジ付きの螺子があります。

 振動対策で基板をしっかりと抑えたい欲求があるのかな?

 と推測します。

 

☆パワーカードの信号線と基板をつないでいるコネクタ

 半田づけの接続ではなく、コネクタで基板と信号線を

 つないでいます。結構振動で力が加わると思うので、

 こんなにゴツイコネクタになっているのでは。

 トランスよりも高背なコネクタとは。。。。

 見たことないので、カスタムと推定されます。

 

☆電源用のトランス

 駆動用電源のトランスが基板奥に並んでいます。

 トランスの個数から考えると、分散電源として作っているのかな。

 トランス形状からは、TDKかスミダのカスタムトランスと推定されます。

 

いずれも画像からだけだから、信憑性はあまり高くないかも。

誰か基板提供してくれないかな。

基板さえあれば、勉強をかねて、ティアダウンするのですが・・・

 

ではでは。

 

 

 

オシロの測定信号は遅延している!

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パワエレエンジニアの必需品のオシロスコープですが、

測定信号は遅延しています。

ここで言及している遅延とは、測定プローブで波形を観測してから

測定プローブを通ってオシロスコープの入力端子まで信号が伝達される時間です。

通常、伝達遅延としてプローブのデータシートに記載されています。

(だいたい、数nsec~100nsec程度の間です。)

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パワエレ研究室 part3

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パワエレをしっかりと学べる研究室の続きです。

以下の点、ご注意ください。

 

・当方の独断と偏見で選んでいます。

・番号をつけていますが、思いついた順番です。

(優れている研究室順番ではありませんので、誤解なきよう。)

 

【1】,【2】を記載している過去の記事です。

【3】~【9】を記載している過去の記事です。

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変調率を使うな。直流電圧利用率を使用しろ!

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パワエレ業界は、そのエンジニアの周囲環境によって、

言葉の定義が異なることが多いです。

インバータ(特に三相電圧形インバータ)の初学者にとって、

変調率というのは理解しがたいものだと思います。

パワエレ業界に10年以上居ますが、同じ社内、部署の人との会話でも

いまだに当方もこの定義に違いに悩まされることがあります。

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