車載パワーエレクトロニクスの世界

車載機器に利用されているパワーエレクトロニクスの世界をマニアックに説明

オシロは接地して使用しろ!

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パワエレエンジニアの必需品と言えばオシロスコープです。

当然手足のように使いこなせる必要があります。

 

しかし、今のエンジニアで本当の意味で使いこなせている人は

少ないと感じます。

(当方も帯域500MHzまでのオシロしか使えません・・・)

 

初心者のパワエレエンジニアの中で一番多い誤りが

オシロスコープのAC100V電源のアースを浮かせて使用していることです。

 

これは、先輩エンジニアが知ってか、知らずか分かりませんが、

「高圧系を測定する際はアースを浮かせろ」

「アースを浮かせばフローティングで測定できる」

「アースを浮かせるとノイズなく綺麗に測定できる」

などと、初心者のエンジニアに吹き込むからです。

 

中には、オシロはアースを浮かせて使用する物です!なんて、

強気に宣言する初心者も居ます。

 

アースを浮かせて使用すると自分自身が地絡経路に加わり、

最悪感電します。その説明は以下をご確認ください。

 

しかし、アースを浮かせて測定してはいけない一番の理由は、

「オシロスコープはアースを浮かせた状態では、測定結果が保証されない」

ためです。

通常、開発に使用する計測器は、定期的な校正(年1回程度)が実施され、

測定精度が保証されていると思います。

この測定精度が保証される前提条件としては、

計測器を正しい状態で使用し、測定した場合です。

どのオシロスコープのマニュアルにも、アースを接地して使用することと書かれているはずです。

 

つまり、アースを浮かした状態で測定した波形は、

精度が保障されておらず、でたらめな値ということです。

無論、アースを浮かせてもそれなりの波形は取得できるし、

測定方法を監視している人が居るわけではないので、他の人にはわかりません。

 

エンジニアとしての最低条件は、うそをつかないことだと思いますので、

正しくない状態での測定結果を使用するのはやめましょう。

 

そうは言っても、どうしてもフローティングでの測定や異電位間の測定を

実施する必要がある場合があります。

その際は、絶縁型のオシロスコープや差動プローブを使用しましょう。

(もちろん、オシロは接地した状態で)

 

絶縁型のオシロスコープはこんなものです。

昔は良いものがあったのですが、最近は使いにくいものが多いです・・・

 

差動プローブはこんなものです。

パワエレエンジニアは、高電圧差動プローブを使用することが多いと思います。

 

ではでは。