プルアップ抵抗が10kΩの理由
制御基板上によく使用されるプルアップ抵抗ですが、
だいたいが10kΩが使用されていると思います。
回路設計が少しできるようになった初心者が
よく戸惑うポイントは、なぜ10kΩ何だろうってことです。
その理由は、「なんとなく!」です。
実際に設計している設計者が言っているのだから、
間違いありません。
そもそも、プルアップ抵抗ってなんぞやという方は、
以下をご確認ください。
まじめに考えると
無論、回路定数を選定する訳ですから、10kΩ選定の
もっともらしい理由はつけることができます。
でも最終的にはなんとなくに落ち着くと思います。
①ICの誤動作を防止するため(抵抗値が大きい側)
ICの端子電位を固定するためにプルアップ抵抗を設定するのですが、
抵抗値が大きいとノイズによって電流が流れると
抵抗値が大きいためノイズによる 発生電圧も大きくなり、
誤動作する可能性が出てきます。
そのため、極端に大きな値とすることが出来ず、
1k~100kΩ程度の範囲となります。
②ICの誤動作を防止するため(抵抗値が小さい側)
ノイズによる発生電圧を小さくするため、抵抗値を小さくし、
プルアップ電流を増加させるときがあります。
この場合、極端に小さくすると電流が増大し、
抵抗での電力消費が問題になってきます。
そのため、極端に小さい値にすることが出来ず、
470~100kΩ程度の範囲となります。
無論、詳細設計はもっとまじめに実施するのですが、
大まかに上記の抵抗範囲ぐらいになります。
つまり、10kΩだろうが、9.1kΩだろうが、11kΩだろうが
設計成立します。
この中で10kΩを選定している理由は
「なんとなく」
です。
中には、抵抗の流通数として10kΩが多く流れているから、
コストが安いという人が居るかも知れませんが、
今はE24系列ならどの抵抗値を選んでも同一価格です。
(確かに大昔は抵抗値での価格差がありました。)
中には、基板上のほかの回路で使う可能性の高い10kΩとしておけば、
チップ部品をマウントする際のフィーダの数量が1個削減できて、
コスト低減に繋がるという人が居るかも知れません。
今は、フィーダを1個共通化したからといってコストが下がる
状況ではありません。
仮に基板上に10kΩが使われていなくて、9.1kΩが使われている場合、
プルアップを9.1kΩに変更する設計者はほとんど居ないでしょう。
そのぐらい、このなんとなく10kΩというのは、
意思が強いのです。
ではでは。