車載パワーエレクトロニクスの世界

車載機器に利用されているパワーエレクトロニクスの世界をマニアックに説明

初心者は、オームの法則は直流だけにしよう!

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基本の考え方

電気回路の法則で、まず出てくるのが「オームの法則」です。

 

定義としては、説明するまでもないと思いますが、

[ V = I × R ]

電圧【単位:V】は、電流【単位:A】×抵抗【単位:Ω】

となります。

 

実設計の中でも使用頻度は高くて、

①抵抗の分圧計算や②通電電流の計算に使用します。

これらの計算は、定常状態(直流)で考えることが多いため、

オームの法則を使用して計算します。

 

①抵抗の分圧計算例

 5Vの電源を10kΩ抵抗の2直列で分圧する場合、

 5V×((10k)/(10k+10k))=2.5V

 となります。

 抵抗分圧は、以下のサイトがわかりやすいかと。

 

 

交流への適用

オームの法則は直流だけでなくて、交流にも当然使用可能なのですが、

交流を考える際には、位相という概念を理解する必要があります。

例えば、正弦波の交流電圧を抵抗に印加する場合の電流は、

電流I[A]、正弦波の交流E[V]、抵抗R[Ω]とすると、

I=E/R で算出可能です。

仮に、E=√2×Ea×sin(θ) ・・・ Eaは実効値[V] とすると、

I=√2×Ea/R×sin(θ) となります。

つまり、電圧と電流が同位相となります。 

 

 次に、抵抗ではなくて、インダクタンスL[H]に電圧印加することを考えます。

インダクタンスのインピーダンスZLは、ZL=|ωL|で求められるので、

I=E/ZL で

I=√2×Ea/ZL×sin(θ) となる。 という風に回答する人が

結構います。

 

位相という概念が無ければ、上記のような回答になるのですが、

実際には、インダクタンスで位相が90°遅れます。

 

このあたりの考え方は、以下のサイトがわかりやすいかと。

  

まとめ

位相の概念が理解できるまでは、オームの法則で扱うのは直流だけにしておこう!

ということを声を大にして言いたいです。

直流だけの計算で、十分に車載インバータは基板設計できます。

 

 ではでは。