車載パワーエレクトロニクスの世界

車載機器に利用されているパワーエレクトロニクスの世界をマニアックに説明

配線の電流は、1sqあたり10A以下で使用!

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配線の選択

パワエレ初心者のエンジニアだと、先輩社員から、

「このインバータの発熱評価をお願い。

配線はその辺にある電線を適当に使って良いから」

なんて形で実験のお仕事を依頼されることもあると思います。

 

さて、このときにどんな電線を選択するでしょうか?

無論、電線が太ければ太いほど許容電流が大きいため

安全に評価できるでしょう。

しかし、10A流れるところに38sq(38m㎡)の電線を使っていれば、

いまいちなエンジニアと思われること間違いなしでしょう。

 

適当に配線を選ぶ際の基準が「1sq(1m㎡)あたり10A」なのです。

もちろん、厳密には選択する配線の絶縁被覆の材質、導体の種類(アルミor銅)、

メッキの有無、使用する際の周囲環境(温度・湿度)、試験の繰り返し性などを

考慮して選択する必要があります。

しかしながら、評価の際は手持ちの在庫から

適当に選ぶことが多いのが実情です。

 

許容電流や電線のイメージをつかむなら下記のサイトが見やすいでしょう。

 

 いけてない事例 

電線の選択を誤るとこんなことになります。

 

当方の周辺で実際にあったお恥ずかしい話ですが、、、

直流側の入力電流が100A程度のインバータを評価する際に、

1.25sq(1.25m㎡)の電線を接続した子が居ました。

 

通電を開始した後、30秒後ぐらいに

「パン!パーーン!!」

と物凄い音とともに稲妻のような発光がありました。

その後、焦げ臭いが立ち込めてきました。

 

電線の許容電流がまったく足らなかったので、

導体が異常発熱をおこし、絶縁被覆を溶かして、

地絡したのです。まぁいわゆるアーク溶接ってヤツです。

このときは電源装置を使っていたので、

電源装置側の過電流により非常停止 が行われて、

大きな事故にはなりませんでした。

 

しかしながら、バッテリーを使った評価もあると思います。

そのときに上記のようなミスがあったら、発火するまで

溶接し続けると思います。

バッテリの評価の場合、通常はヒューズなどをつけて安全対策すると

思いますが、配線を選択できないエンジニアは、

ヒューズなんて付けないことが容易に想像できましす。

 

くれぐれも自分の身は自分で守ってください。

 

ではでは。